【予備自衛官】札幌での10日間にわたる駐屯地生活や予備自衛官訓練の概要および反省について。

予備自衛官

はじめに:国防意識を磨く訓練です

2023年8月25日に、元自衛隊芸人のやす子さんが、『即応予備自衛官』として復帰する予定であることがテレビ番組で語られていましたね。

この記事ではわたしが任用されることとなった『予備自衛官』について、訓練を受けてみた所感や待遇(給与)などと訓練のスケジュールを解説していきます。

主に、国防意識を磨く10日間の訓練だったかなと感じています。

免責

この記事はわたし自身が経験した訓練内容や、その他受領した資料をもとに作成しております。団体を代表するものではないことにご留意ください。防衛省の事業であるため、公にできない情報も数多くあります。また記事のなかで使用する用語・呼称についても正式名称ではない場合があります。

実際のスケジュールやルールに関しては、必ずご自身で調べてください。

訓練の目的

訓練の目的は、面接や筆記試験を受け『予備自衛官補』として合格したものに対し、10日間の訓練を受けることで『予備自衛官』として任用することです。

用語の確認

補(ほ):訓練を受ける前の候補生の意味。訓練が終わると「補」が外れ、正式に予備自衛官となります。

年齢制限

予備自衛官は「一般」と「技能」に分かれます。

どちらの区分かによって応募可能な年齢制限があります。

一般:18歳以上34歳未満

技能:18歳以上で、保有する技能に応じ53〜55歳未満

今回、予備自衛官としての区分を、技能の「衛生」として任用されることとなりました。

この衛生には医師や看護師、また理学療法士などの医療系の有資格者が応募できます。

技能の区分には衛生のほかに「法務」「語学」「建築」「整備」「情報」などがあります。

召集訓練実施日

招集訓練は全10日間で行われました。

①8月24日〜28日(5日間)

②9月13日〜18日(5日間)

合計10日間

わたしは夏場の8月・9月の2ヶ月連続で参加しました。

このスケジュール感で組むひとが7割くらいの印象でした。

同期の予備自衛官の友人もできますし、できることなら連続月でい参加したいですね。

普段の仕事の都合などで連続月での参加が難しい場合には、8月・12月などに分けることもできます。

不安があれば、管轄の地方協力本部に連絡をしてみましょう。

用語の確認

地本:地方協力本部を略して地本と呼びます。わたしは札幌市に住んでいるので「札幌地本」が管轄になります。筆記試験や面接試験はこちらで行われます。

実際の召集訓練の場所は、管轄の地本とは違った駐屯地になることが多いようです。

訓練所:真駒内駐屯地

自衛隊真駒内駐屯地(札幌)

部隊:第120大隊

訓練生

訓練中には同期生といっしょに協力しあって進めていきます。

16名(うち女性4名)

同期は16名でした。

そのうち4名は女性で、技能区分もそれぞれ法務、衛生、語学など多種多様でした。

用語の確認

訓練生であれど、自衛隊特有の用語を使いながら生活をしなければなりません。特に、階級や上下関係を重んじる組織であるため、班の統括には「○○班長」「○○二曹(にそう)」などと呼ぶのが正式です。また訓練生も「○○予備自補(よびじほ)」と呼ばれます。

大隊長:真駒内駐屯地第120大隊の隊長

中隊長:同上の中隊長

曹長:同上の曹長

区隊長(くたいちょう):訓練部隊の統括

区隊付(くたいづき):10名程度の各班班長

これらの呼称が訓練中の呼び方です。

持ち物リスト

基本的な生活用品は宿舎に用意してあるのですが、消耗品などは持参する必要があります。

洗面用具一式(シャンプー、洗顔料、石鹸など)

タオル×5枚、バスタオル×1枚

半袖Tシャツ、短パン

筆記用具(ボールペンなど)

ハンガー×5本

お金(5,000円程度)

持っていけばよかったもの

持っていけばよかったと思うものもありました。

長めのジャージ上下:入浴などの館内移動では短パンは厳禁です。ジャージ上下があると良いでしょう。

ベビーパウダー:暑さや汗で皮膚トラブルが起きやすいので、ベビーパウダーがあると気がまぎれると思います。

大きめの洗濯ネット:毎日戦闘服を洗うことになりますから、大きめのネットがあると便利です。

訓練の季節によってはベビーパウダーなど皮膚状態の異常に対するものも必要と思います。

訓練所にあるもの

ハンガー:乾燥室に、寄贈されたハンガーがあります。

アイロン、アイロン台、きり吹き:課業外の時間で戦闘服のアイロンがけを行います。

訓練スケジュール(例)

ある日の昼食例

訓練中は起床や就寝の時間が概ね決められており、その間に課業が組まれています

時刻やること
6:00起床(ラッパがなります)
6:15 点呼(廊下に並びます)
8:00訓練用具の搬出
8:15
11:30
午前の課業開始
11:40昼食
13:00
16:30
午後の課業
17:00夕食
18:00入浴
19:00居室掃除、アイロンがけなど
21:00点呼
23:00就寝
1日のスケジュール例

注意点としては、早朝6:15の点呼の時点ですでに自衛隊用の戦闘服に着替えていなければならないことや、入浴後の夜21:00の点呼で、再び戦闘服に着替えていなければならないことなどがあります。

入浴後なので体がさっぱりとキレイになった後ですが、戦闘服を着直さなければなりません。

また21:00の点呼が終わった後には戦闘服のアイロンがけや、翌日の訓練の準備をします。

その後、寝巻きに着替えて23:00には就寝することとなります。

訓練内容について

前半5日間

基本教練:号令の掛け方や集団行動・戦闘服の着衣、また自衛隊における声かけの基本を習います。

座学:自衛隊がどのような理念に基づいて活動しているか、また現在の国際社会ではどのような脅威があるのかなどを座学で習います。

小銃の分解結合:後半の訓練では小銃での射撃訓練があります。ですので実際に使う前に、小銃の分解・結合で仕組みを学びます。

救命救急:実技ベースでAEDの使い方や包帯の巻き方などを教えてもらいました。

後半5日間

技能実習:衛生の区分であったため「野外手術室」の見学や、野外テントの設営・解体などを行いました。

射撃演習:前半の訓練で扱った小銃を、実際に演習場で「射撃演習」をします。

野外訓練:テントの設営や飯盒炊爨を行いました。

訓練中大変だったこと

①食事をなるべく早く食べること

自衛官は厳格に定められたスケジュールで訓練や演習を行います。自分のペースのみで生活していると課業外の自由な時間をまったく取れなくなる可能性もあるので、朝食・昼食・夕食を早く食べて、残った時間で休憩をします。

わたしも概ね6〜7分で食べるようにしていました。

②猛暑なのに長袖・長ズボン・厚手の制服を着なければいけないこと

第1期は8月の猛暑日でした。そのなかでも長袖・長ズボンで厚手の戦闘服を着ていなければならないので、常時汗をかき続けて「汗疹(あせも)」が下腿部に出てしまいました。

③洗体はできるが入浴はできないこと

上述の①②に通づるところがあるのですが、時間を捻出するためにはゆっくりと入浴している時間はありません。なので先体のみにして、入浴はしていませんでした。(ゆっくりお湯に浸かっている候補生、自衛官も多いですが)

④生活リズムの合わないひとがいると大変かも

集団生活ですので、生活リズムの合わないひとがいるとたいへんかもしれません。夜11時には部屋の電気を消して就寝しますので、遅い時間まで起きているとほかの訓練生に迷惑がかかってしまいます。

待遇

訓練を終えて「予備自衛官補」から「予備自衛官」になったひとには、身分が与えられます。

それが以下です。

非常勤の特別国家公務員

なお今回は理学療法士の資格を使って受験しているので、予備自衛官の階級として「2等陸曹(通称、2曹)」が与えられました。

有資格者はこの階級から始めることになるようです。

その他、医師や弁護士は、「陸尉」という階級が与えられるようです。

階級制度については以下のURLをご参照ください。

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受け取れる手当のこと

初年度は10日間の訓練参加費が支給され、2年目以降は毎月の手当と5日間の招集訓練参加手当が支給されます。

初年度(1年目)

訓練参加費:8,500円/日

10日間参加でで85,000円(課税前)

※この金額は課税所得になるようです。予備自衛官「補」から予備自衛官になるための10日間訓練後、実際に振込された金額は74,000円(37,000円×2回)でした。

2年目以降

毎月支給の協力金:4,000円/月

召集訓練参加費:8,100円/日

年間で88,500円/月(課税前)

なおこれらの手当は課税対象なので、源泉徴収された形で指定の口座に振り込まれます。

最後に反省点:なんでも挑戦できる環境

ひとつ後悔があるとすれば、それは「あまり立候補しなかった」ことがあります。

予備自衛官とはいえこの訓練中はまだ候補生ですので、いろいろなことに立候補していけばよかったと思っています。訓練中ですので、多少のミスがあっても基本的には簡単な口頭指導のみです。

例えば号令ひとつをとっても、都度指導教官(班長)から「やってみたい人はいますか?」と問われるので、そのときに手を挙げればもっといろいろな経験ができたかもしれません。

つまりこの訓練中は「なんにでも挑戦できる環境」なので、普段の生活ではやれないことに積極的に挑んでいくことが良いかと思います。

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