【経過報告】海外リハビリテーション!PTとしてウズベク人の家屋訪問してみた。

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アッサローム・アライクン、こんにちはYUJIです。

わたしは”理学療法士”という職種でウズベキスタンへ派遣されている。今回は専門的なことを省いて、”理学療法士は国民の健康生活水準を高める職業”と定義して論述していきたい。健康生活水準を高めるためなにをするべきか、協力隊員そしてひとりのセラピストとして考えてみたい。対象は先日訪問したクワソイに住む50歳代男性

※尚、あらゆる個人情報が含まれる恐れがあるため、写真は一切公開しない。

本人の了承が得られたため家屋構造の一部とアプローチ方法を紹介する。

続きは以下よりお読みください!

 

 

ウズベキスタンの現状

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ウズベキスタンには理学療法士という資格は存在せず、その養成機関もない。いわば現地人にとって未知の領域といえる。同様の手技を看護師が行っているものの、彼女たちは専門教育を受けていないため、そのレベルや方法は日本のものと大きく異なっている。この話はまた別の記事をもって紹介したい。

 

 

事例紹介

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わたしの配属先では”訪問リハビリテーション”を行っていない。

そこで休日返上し、先日退院した中枢神経系の疾患を持つ患者の家宅訪問をしてみた。彼はクワソイという地域で家族と4人暮らしをしている。

クバソイ「自然が溢れる場所」 – YUJIのBLOG

主な働き手は同居している息子と本人の2人であったが、当院で外科手術の必要があったため退職している。術後右手と右足が動かなくなり、一人で歩くことが困難になった。自宅でも介助者が1~2名いないと生活ができない状態である。

 

 

退院時の身体状況

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麻痺側である右上下肢の随意性は低く、介助者がいれば歩けるものの頻繁に膝折れしてしまう。上肢には全く筋収縮が起こらず、野球ボールをつかむこともできない。

 

 

介入方法

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退院後より毎週待つクワソイの自宅を訪問し、診療する。

なおプライベートの時間を使っているため配属先には訪問する旨を伝えていない。

 

 

家屋内の状況

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家の中へ入るとベッドに横たわる男性。彼がわたしの担当患者だ。入院していたときと比べて少し元気そうな印象を受けた。ベッドの周りには小さな棚が置いてあるのみだった。手すりの代わりとなりそうなものはなく、屋内移動にも制限あるように感じた。

ひととおりの施術して歩行練習をすすめる。入院していたときより、幾分手足の自由度が増している。自宅の生活に戻れば、身体機能が向上する場合も多分にあるようだ。そこである提案をしてみる。

ー高さ1~1.2mの棚はありますか?そこにつかまることができれば生活が楽になると思います。

 

 

ウズベク人の本領発揮

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別邸をくまなく探し回ったが、適当な高さの物が見当たらない。絵を描いて息子へ伝える。「これくらいの高さで、手すりの代わりになるようなものがあれば、より生活がしやすくなると思いますが……」

すると息子は「それならパイプのようなものを買ってきて工事しましょうか」と言ってくれた。そう、ウズベク人は物を修理したり、家の工事を自分たちで行う。それがウズベク流。家屋のリフォーム等はお手のものだ。

 

 

経過報告

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1回目:初めての家屋訪問で家屋内の様子や家具の配置を確認した。

回目:歩行練習の方法と頻度を口頭指導しSJFの手技を施行。

回目:立ち上がるときにマットレスが沈むため、ひとりでは立ち上がれない。

回目:活動後に息子より”動かなかった手が動いた”とTELがありクワソイへ向かう。随意性の低かった上肢が動き出し、介助者なしで歩けるようになっていた。

5回目:杖を使っていれば屋外でも介助なしでもあるくことができるようになった。

 

 

 

今回の考察

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実はまだベッドの横に手すりは付いていない。もしかすると上下肢の随意性が上がりはじめたため必要ないかもしれない。介入開始から約1ヶ月経たずして手が動き出したことにはわたしも驚いている。

 

本日(3月13日)訪問すると笑顔でむかえてくれた。来週はウズベキスタンの伝統行事”ナウルーズ”が催され、その準備をしているようだ。「あなたのおかげでこうして歩くことができるようになった。今日は食事をごちそうさせてくれ。」

赤い杖を使って屋外へ出てゆく彼の後姿には、入院当初の面影はなかった。

 

ひとまず生活に困らなくなってきたため本編完結です。冒頭でも書いたようにウズベキスタンにはまだ理学療法士の資格がなく、もちろん訪問リハビリテーションは行われていない。しかしこういった例を積み重ねていくことでその有効性を示すことに繋がると信じている。

 

最後までお読みいただきありがとうございました! 

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