アッサローム・アライクン、YUJI( @sugisshu )です。
先ほど(2017年4月30日、早朝)ウズベキスタンからメールをいただきました。今回の記事で取り上げたZulifizarさんが日本語弁論大会・中央アジア大会で優勝したそうです!これでウズベキスタン大会と合わせて二冠、残すところ11月のモスクワ大会のみとなりました!本当にすごい!
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はじめに
わたしは2年間の任期中、理学療法士として活動するかたわら、日本語教師としても活動していました。海外日本語教師としての資格は持っていないのですが、代々フェルガナで活動する隊員は日本語教育に関わっているようです。
病院での活動に悩んだときや日本語で話したくなったときにいつもセンターの生徒たちはわたしを助けてくれました。日本への留学経験のある生徒、ひらがなも書けない生徒、年齢もレベルもバラバラで指導の仕方に戸惑うことも多かったのですが、いまではその全てを懐かしいと感じます。
第25回ウズベキスタン日本語弁論大会
(弁論大会直前に撮影した写真)
ウズベキスタンでは毎年1回、全土から日本語話者を集めて”日本語弁論大会”が開催されます。タシケントにあるUzbekistan Japan Centerをはじめとして、サマルカンド、ブハラ、東からはリシタンJAPANセンターなどからも学生が出場します。
各指導教室から1名ないし2名が出場ししのぎを削りあう今大会は、ウズベキスタン国内で日本語を学ぶ学生にとっては一大イベントなのです。優勝者には中央アジア大会・モスクワ大会に出場する権利と、副賞として日本語電子辞書などが授与されます。
なんと2017年3月に行われた今大会では、わたしの教えていたフェルガナ言語センターから出場していたZulifizarさんが優勝しました!わたしも自身の活動終了が近づいていたため直接応援に駆けつけることはできなかったのですが、受賞の直後に彼女から連絡をもらい、飛ぶように大喜びしてしまいました。
もともと語学センスの良かった彼女ですが、わたしの指導した方法に、もしかしたら彼女を成長させるための秘訣があったのかもしれません。冒頭でも書いたように、わたしは日本語教師としての資格も何も持っていない素人ですからこの方法がすべての生徒に適応される自身はありませんが、ひとつのデータとして書き記しておきたいと思います。
日本語指導論
あくまでここで紹介するのは”日本語弁論大会で指導した生徒と行った練習法”です。そのまま普段の教育に当てはめられないこともあるかもしれませんから、ご了承くださいね。
レベルを把握する
まずはじめに対象となる生徒の日本語レベルを把握します。挨拶ができるのか・文字はかけるのか・コミュニケーションはどれくらい取れるか、など。日本語能力試験などを受けていれば2級、3級と把握しやすいんですけどね。
これによって本人が持っている語彙量などを把握しら、指導や話し合いの中で、意図していることが伝わりきらないリスクを減らすことができます。日本語弁論大会に出たいような生徒は日本人と変わらないくらい話せるので、心配の必要はないかもしれませんけどね。
テーマを決める
日本語弁論大会では話すテーマを自分で決めなければなりません。多くは国家の環境問題や文化の違いなどですが、これは当人の一番やりやすいテーマでいいでしょう。ここのフェイズ次第では練習の熱の入れ具合を変わってきますから、じっくりと時間をかけて、しかし素早く決めてしまいましょう。
スクリプト(原稿)を書いてもらう
日本語弁論大会で何を伝えたいのか、生徒の中にあるものを全部出してもらいます。この段階をわたしは”スクリプトの時期”と呼んでいるのですが、テーマ選定で1時間くらい話し合いをしてもいいかもしれませんね。その方が指針が立っていいでしょう。
まずは何語でもいいのでデーマ選定で決まったことを、形にしてみます。
スクリプト(原稿)をWordに書き出す
このフェイズは結構大切で、実は日本語弁論大会では、最初に決めたテーマは十中八九変わります。というのも自分の話せる語彙が思っていたより少なかった・もしくは多かった場合に、文章内容は変わるからです。
そのときにWordでデータとして残してあればいくらでも文章を変更できるので、この手順を面倒臭がらずにやってみてください。
最低1ヶ月、毎晩5回話す練習する
日本語弁論大会でうまくいかない生徒はほとんどの場合、しっかりスクリプトを暗記できていません。暗記することの是非は別にして、弁論大会に限って言うとスクリプトの暗記は最低要件です。毎晩寝るまえに5回、スクリプトを読んで暗記させるようにしてください。
発音矯正
外国語を話すとき必ず必要になるのが”発音矯正”です。「伝われば良い」というのは外国語初学者の発想であり、高いレベルで語学の習得をしようとするなら発音矯正に時間をかけてください。弁論大会の練習ではこの発音矯正をしないといけません。
日本語独特の発音もありますから、暗記してきたスクリプトを読み上げながら、適宜修正していきましょう。これはネイティブスピーカーである日本人しかできないことですよ。できれば毎日、少なくとも週3回はやりましょう。
質問を浴びせる
ここまでのフェイズを確実に踏んできたら、あとは仕上げとして”質問を浴びせる”ことをしてみてください。弁論テーマに対して質問を浴びせることで、内容を吟味しますし、ある程度暗記できていないとこのフェイズには太刀打ちできません。
いろいろな観点から質問をしてみてください。なぜそのテーマを選んだのか、メリット・デメリットは?質問の数が多ければ多いほど、深くテーマに入り込むことができます。
ミサンガを渡す
ここまで一緒に練習を頑張ってきた学生ですから、何か最後にお守りをあげても良いかもしれませんね。わたしはよく弁論大会の前日にミサンガを手作りして渡します。結構喜んでくれますよ。
まとめ
以上がウズベキスタンの弁論大会で優秀な結果を残した生徒と行った、マル秘練習法でした。多くの日本語教育者が同じような方法で指導しているは思いますが、今回はわたしが担当した学生とともに行った7つの練習法です。
もう一度確認すると、
■レベルを把握する
■テーマを決める
■スクリプト(原稿)をWordに書き出す
■最低1ヶ月、毎晩5回話す練習する
■発音矯正
■質問を浴びせる
■ミサンガを渡す
でしたね。この方法で日本語弁論大会優勝を目指しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
これであなたも日本語教師。
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